早く俺を、好きになれ。



そんなことを思っていると、すぐに昇降口に着いた。



「咲彩?」



靴箱で履き替えていると、後ろから誰かに名前を呼ばれて振り返る。


そこには、部活終わりの虎ちゃんの姿があった。



「あ、虎ちゃん。お疲れ」



汗をかいたのか髪の毛が少し濡れていて、息が上がっている。


面倒だからなのか、指定のネクタイもしておらず腰で履いたズボンがだらしない。


下校時間ギリギリだから急いでたのかな。


「部活帰り?」


「あ、おう」


「毎日こんなに遅くまで大変だね」



「じゃあ、虎!またな」



「おう、また明日!」



バスケ部員が続々と駆け足でやって来て、慌てて靴を履き替えて去って行く。


虎ちゃんはみんなに笑顔で手を振った。



「こんな時間まで何やってたんだよ?」



「ん?部活だよ」



「はぁ?部活?帰宅部のくせに」



からかうように笑う虎ちゃんのイタズラッ子のような目が、なんだか憎たらしい。



「今日から調理部に入ったんです〜!」



そういえば、虎ちゃんには言ってなかったっけ。



「え?マジ?何作ったんだよ?腹減ったからなんかくれ」



「え〜?どうしようかなー?」