早く俺を、好きになれ。



そして、ゆっくり吐き出した。



「虎ちゃんだけのヒロインになりたい」



私の人生の中で、虎ちゃんは脇役なんかじゃない。


虎ちゃんの人生にも、脇役出演はしたくないよ。


お互いに主役のヒーローとヒロインがいい。


それくらい、虎ちゃんのことが好きなの。



「ダメ……かなぁ?」


「…………」


黙り込む虎ちゃんに不安が増していく。


やっぱり、今さらダメなのかな。


虎ちゃんは私のこと、どう思ってる?


「な、なんか言ってよ」


「わり……可愛くて、つい」


「私はマジメに言ってるんだけど」


「だよな。けど、もうなんつーか……うん、咲彩、可愛すぎ」


「え……」


虎ちゃんは再びめいっぱい私を抱きしめる。


尋常じゃないほどドキドキして、おかしくなりそう。


こうしていると、好きだなぁって。


幸せだなぁって。


「咲彩」



肩をグッと掴まれて、上半身だけが虎ちゃんから離される。


熱のこもった瞳と、スネたようにへの字に曲がった唇。


虎ちゃんの顔は、りんごみたいに真っ赤だった。


整った顔が近付いて来て、思わず息を呑む。