武富君は自分の机をゴソゴソ漁って教科書を取り出すと、それをカバンにしまう。
やっぱり、忘れ物だったのか。
「学校祭の時、斎藤に聞かれたことだけど」
「え……?」
突破何を言い出すのかと思えば、学校祭の時……?
なんかあったっけ?
半年以上も前のことを、急に思い出すことなんてできない。
「あの時は言えなかったけど……市口さんと末永は、お似合いの2人だと思うよ」
「え?あ……」
そういえば、武富君は斎藤君にそんなことを聞かれてた気がしないでもない。
お似合いの2人、か。
なんだか、照れくさい。
でも、嬉しい。
お似合いだなんて、初めて言われた。
「あの頃の私は、脇役キャラだったのになぁ」
武富くんのことで悩んでたよね。
なんだか、すごく昔のことのように思える。
それだけ前に進んだってことだよね。
「脇役だって、いつかは誰かの主役になるんだ。俺もそうだったしさ」
「あはは、そうだね」
色んなことがあったよね。
消してしまいたいほどのツラい経験も思い出も、ムダじゃなかったんだって今なら思える。



