早く俺を、好きになれ。



自分の気持ちがよくわからない。


だけどこれだけは言えるよ。


私は虎ちゃんには笑っていてほしいんだって。



「咲彩……?」


「へ?あ……」



やばっ、バレちゃった。


スポーツタオルで汗を拭いながら、虎ちゃんは驚いたように目を見開いている。


その目は、なんでお前がここにいるんだ?とでも言いたそう。


ギクッとして、心臓がヒヤッとした。


また拒絶されたら……。


そう考えたら怖い。


でも、ここで逃げたくない。


拳をギュッと握ると、ビニール袋がカサッと揺れた。



「こ、これ……差し入れ!渡しに来ただけだから、じゃあね」



バレて焦ったのと、とっさのことでパニック状態だった私は、手にしていた袋を虎ちゃんの手に無理やり押し付けて踵を返した。


まともに顔を合わせて話したのは久しぶりで、正直どうすればいいのかわからなかった。


それなのに鼓動はドキドキ高鳴っていて、ものすごく胸が熱い。


顔も、真っ赤だ。


なんで?



「ちょ、おい……待てって」


「それ、ロールケーキだから!半分は私が作ったけど、半分は柑菜が作ったから美味しいと思うよ。だから、食べて」


「は?何言ってんだよ。つーか、なんでここにいるんだよ?」



困惑顔を浮かべる虎ちゃんは、恐る恐る私の顔を覗き込む。