早く俺を、好きになれ。



何かあったことは間違いなさそう。


でも、それを知ってどうしろっていうの。


結局、何もできないまま放課後になった。



今日は調理部があるから調理室で作業をしているけど、何となく身が入らない。



「市口さん、ゼラチン入れたら混ぜなきゃ」


「え……?あ、ごめん」



織田さんに言われてハッとする。


そして、手に持っていた泡立て器で慌てて鍋の中をかき混ぜた。


ぐるぐるかき混ぜながらふと思う。


私、何でこんなことをしてるんだろう。


最初は武富君のために何かしたくて入ったけど、それも今はもう無意味。


作ったって食べてくれる人はいないのに、何でこんなことをしてるんだろう。


少し前までなら、部活帰りに虎ちゃんがいつも待っててくれたっけ。


私なんかの作ったいびつな形のクッキーを、美味しい美味しいって言いながら笑顔で食べてくれたんだ。


あの頃がもう、遠い昔のことみたいに思える。


虎ちゃんと笑い合える日は2度と来ない。


私が……突き離してしまったから。