聞きたいけど、聞けない。
私が首をつっこむことじゃないし、虎ちゃんもきっとそれを望んではいないはず。
何より、私から突き離したのに……今さらって思うよね。
でも、でも……。
今まで散々助けてもらったのに、虎ちゃんが悩んでる時に私は何もできないなんて。
教室に着くと、虎ちゃんは机に突っ伏して寝ていた。
いつも一緒にいる斎藤君も来てるけど、今日は他のバスケ部の仲間のところにいる。
いつもは虎ちゃんが寝てても構わずに邪魔しに行く斎藤君なのに、今日は違う。
虎ちゃんひとりを残して、談笑していた。
虎ちゃんだけがひとりポツンと浮いていて、2人の間に目には見えない壁があるみたい。
教室の真ん中の後ろの方の席から虎ちゃんを観察する。
あいにく、虎ちゃんは1番前の席だから自然と視界に入ってくる。
虎ちゃんは授業中はちゃんと起きてはいるものの、休み時間のたびに机に突っ伏して寝ていた。
いつもはバスケ部の男子に囲まれて騒いでいるのに、今日見ている限りではずっとひとりだ。
斎藤君も他のバスケ部の仲間たちも、誰も虎ちゃんに近寄ろうとしない。
それは、明らかに前とはちがう光景だった。



