早く俺を、好きになれ。



いつもは明るい空気をまとっている虎ちゃんのオーラが、今は重苦しい。


どうしよう、かなり気まずい。



「ご、ごめん……私」



虎ちゃんを傷付けるつもりなんて、なかったの。


後悔や罪悪感が波のように押し寄せる。


ズキズキヒリヒリ胸が痛んだ。



「謝る必要ないだろ?聞かなくても、咲彩の気持ちはわかってるし」


「ち、ちが……っ」


「つーか、もう交代の時間だから。用事があるんだろ?行けば?」


「え?あ、もう……?」



いつの間にそんなに時間が経ってたんだろう。


って、そうじゃなくて。



「俺も部活の方に行くから。じゃあな」


「え?ちょっ、待っ」



とっさに伸ばした手は虚しく空を切るだけで、虎ちゃんの背中には届かない。


それどころか、虎ちゃんは1度も目を合わせてくれなかった。


口調と態度も、どことなくよそよそしかった。



「あーあ。あいつ、かなりヘコんでるな」



そんな斎藤君の声も、今は右から左に抜けて行く。


虎ちゃんを傷付けた……。


虎ちゃんを……。


虎ちゃんは優しくしてくれたのに、そんな虎ちゃんを……私は。