織田さんといると、武富君のことが思い出されてツラい。
まだ……ムリだ。
私の中で武富君は、まだ大きな割合を占めている。
頬が引きつったけど、ムリしてるのがバレないように笑った。
「じゃあまたあとでね!」
「うん」
うまく笑えていたかな?
最後まで頑張ったよね、私。
教室の中は、すでに出来上がった巨大迷路のダンボールで埋め尽くされていた。
みんなで固まって集まることができず、廊下にクラスメイトがひしめき合っているという状態。
「咲彩、ちーっす」
廊下の真ん中、たくさんのクラスメイトに囲まれた虎ちゃんが私を見つけて大きく手を振る。
周りの男子や女子も、私に気付いて虎ちゃん同様挨拶をしてくれた。
だけど、なんだか様子がおかしい。
みんな困ったような顔をしていて、うーんと唸っている人も中にはいる。
「みんな、おはよう。どうしたの?」
「今日、浅田が休みみたいでさ……!あいつ、迷路ん中でおどかす役だっただろ?」
私の疑問に小さく答える虎ちゃん。