やめてよ。
振られたのは私なのに、どうしてそんなにツラそうな声で名前を呼ぶの?
虎ちゃんはあっという間に私の隣に並んで、歩幅を合わせるようにして歩いてくれた。
それだけでなんだか泣きそうになる。
「よく、頑張ったな。ツラかったら、泣いていいから」
「…………」
頭にポンと乗せられた不器用な手のひら。
ポンポンポンと3回優しく撫でられ、涙が溢れそうになった。
「我慢しないで、泣きたい時は思いっきり泣けよ。いつでも飛んでくって言っただろ?」
「……っ」
虎ちゃんの優しい声が心のツラい部分を刺激する。
「俺が……咲彩の泣ける場所になるから」
ねぇ。
ダメだよ。
優しくしないで。
だって、涙が止まらないよ。
涙がポロポロととめどなく、頬を伝って流れ落ちていく。
顔を覆って泣く私の頭を、虎ちゃんの手のひらが何度も何度も優しく撫でてくれた。



