早く俺を、好きになれ。



「当たり前だろ。咲彩は俺のヒロインなんだから」



「なっ……!」


なに言ってんの!



「だから、他の奴のところでヒロインになられちゃ困る」



冗談なのか本気なのか、シレッと言う虎ちゃんに目を見開く。


ホントに……何を考えてるの?



「も、もー……!恥ずかしいから、そういうことは口に出して言わないでっ!」



「口に出して言わなきゃ叶わないだろ?」



「……っ」



沈黙。


どう返事をしろっていうんだ。


虎ちゃんのバカ。



「なぁ」



「…………」



「おい」



「…………」



「シカトすんなって」



「だって……虎ちゃんが変なこと言うから」



「……だよな、ごめん」



謝るなら言わないでよ。



そう思ったけど言わなかったのは、虎ちゃんの声が寂しげだったから。



「じゃ、じゃあ、送ってくれてありがとう」



「ん、また明日な」



虎ちゃんの整った顔がクシャッと綻ぶ。


良かった、いつもの虎ちゃんだ。



だけどーー。


踵を返した虎ちゃんの背中が、なんだかやけに小さく見えた。