「クッキー?俺にお土産は?」
「え……いや、出来ればあげたくないんだけど。学校祭の練習用に作った物だし、失敗しちゃったから」
マーブル模様がうまく出来なかったし、色が混ざって変な色のクッキーになっちゃった。
味は美味しかったけど、見た目がね。
「失敗したやつでもいいよ、咲彩が作った物なら。食いたい」
ーードキン
思わず胸が鳴ったのは、虎ちゃんがとても優しい顔で私を見下ろしていたから。
こんなにドキドキするのは、きっと虎ちゃんが裸でいるせいだ。
慣れてないから、ただそれだけのこと。
そうじゃなきゃ、虎ちゃんにドキドキするなんてありえないもん。
「わ、わかった。たくさんあるから、全部あげる」
「マジ?いいの?サンキュー」
さっき作ったクッキーを虎ちゃんに全部渡した。
「うまそー」と満面の笑みを浮かべる虎ちゃん。
そこまで嬉しそうにされちゃったら、また作ってあげたいって思っちゃう。
今度は虎ちゃんのために作ってみようかな。