下はスウェットを履いているのが見えてホッとした。


シャンプーの匂いが漂って来て、胸が変にドキッと高鳴る。


な、なにこれ。


なんで虎ちゃんなんかに。


ありえないよ。



「来てたんだ?」



「あ……うん」



ドアの隙間から虎ちゃんの部屋の中が見える。


物がごちゃごちゃしてて、綺麗とは言い難い部屋の中。


最後に入ったのはいつだったかな。



なんてことを考えていると、虎ちゃんが急に顔を近付けて来た。


整った顔がどんどん近付いて来て思わず後ずさる。


「な、なに……?」


「なんかすっげえ甘い匂いがする」


「甘い匂い?」


「うん。すっげーいい匂い」



お団子にしたアップの髪をクンクン匂われ、耳元で囁かれた。


キュッと引き締まった上半身が今にも触れてしまいそうな位置にあって、ドキドキが止まらない。



「思わず食べたくなる匂いだな」



えっ?


た、食べたくなる?



「あ……クッキー作ってたからかも」



服とか髪の毛に匂いが付いちゃったんだ。