早く俺を、好きになれ。



『見学してた青野さんが怪しくない?』



犯人を探し出そうとし始めたその子の友達が放った一言に、教室中がまたもやざわついた。


一気に突き刺さる鋭い視線。



『確かにー!他のクラスの人が入って取ってくなんて考えられないもんっ』


『体育が終わって、そそくさと教室に戻って行くの見たしね』


『みんなも、自分のサイフがあるか確認した方がいいよ!』



みんなから疑いの眼差しを向けられて、言い訳したって聞き入れてもらえるような状況じゃなかったらしい。


集団心理とは怖いもので、こうと決め付けられたら覆すのは難しい。


だから叶ちゃんは何も言えずに黙り込んだ。


仲の良かった友達にまで疑いの目を向けられて、ショックを隠しきれなかった。


涙が溢れそうになった時ーー。


『憶測だけで人を疑うのはやめろよ』


そんな声が聞こえたらしい。


そして、そう言ったのが斎藤君だったことは話を聞いている途中で予測がついた。



『みんなで探してみようぜ!どっかに落ちてるかもしんねーじゃん!』


斎藤君は誰もが叶ちゃんに疑いの目を向ける中、それを取り払うかのように眩しい笑顔を見せた。



「結局、サイフは机の上に置きっ放しにしてたのを先生が見付けて預かってたらしいんだけど。斎藤君が助けてくれた時、すっごく嬉しかったんだ」