早く俺を、好きになれ。



お会計を済ませてお店を出ると、辺りはもう薄暗くなっていた。


オレンジから藍色にかけてのグラデーションがとても綺麗で、思わず魅入ってしまう。


この空を見てたら、私の悩みなんてものすごくちっぽけだよね。


5月も後半に入って、夕方でも薄着で出歩けるようになった。



「あの高層マンションがうちなの」



駅の裏手側にあるひとつだけ大きく飛び出た綺麗なマンションを指差す叶ちゃん。



「え?すごいね!叶ちゃんってお嬢だったんだ」


「やだー、お嬢って言い方古くなーい?せめて令嬢と呼んで」


「れ、令嬢?ガチだ、ガチのやつだ。すごいね、叶ちゃん」



叶ちゃんがお嬢だったなんて、今初めて知りましたよ私。


なんかちょっと、見る目が変わるよ。


叶夢お嬢様とお呼びした方がいいんじゃないかな?



「やめてよ、冗談だから。親がすごいだけで、あたしは大したことないし」


「またまたー!謙遜しちゃって〜!」



冗談っぽく笑って叶ちゃんの肩を軽く叩いた。



「わっ、ちょっ」



そこまで力を入れたわけじゃないのに、バランスを崩してよろめく叶ちゃん。


華奢で色白だし、可愛いし。


何よりすごく女の子らしい。


私も見習わなきゃ。