早く俺を、好きになれ。



「え?」


どういう意味……?


虎ちゃんのとても苦しげな表情とまっすぐな瞳に、胸がドキッと高鳴った。



「あいつ、彼女いんじゃん。2人で応援に来たりして、すっげえラブラブだったじゃん。あいつのことなんかやめて、俺にしとけよ」


「え……」


待って。


わけが、わからない。


虎ちゃんは、なにを言ってるの?


頭が回らなくて、言葉の意味を理解できない。


「好きなんだよ、咲彩のことが」


えっ!?


私のことが……好き?


「うそ……」


だって、ちょっと待ってよ。


ありえないでしょ。


「好きだ、咲彩」



ーードキン


熱を帯びた眼差しに胸がギュッと締め付けられる。


なんでそんな目で見るの?


……やめてよ。


虎ちゃんが私を好きだなんて……そんなこと夢にも思わなかった。


考えられなかった。


「だから、あいつなんかやめとけよ」


『あいつ』って。


武富君のことだよね。


虎ちゃんは私の気持ちを知ってる。


知ってるんだ。



「な、なに言ってんのー?また変な冗談言って。ホントに怒るよ?」



わかってる。


わかってた。


これは冗談でもなんでもなくて、本気で言ってるんだってことは。


でも私は気付きたくなかった。


知らないフリをしていたかった。


冗談にしたかった。


虎ちゃんの気持ちから逃げたかった。


向き合いたく……なかった。



「逃げんなよ。お前のことが好きだって言ってんだよ」


「な、に言ってんの……冗談、やめてよ」



だって、知ったら。


もう前みたいな関係でいられなくなる。


バカなことを言って笑い合ったり、冗談を言ったり。


それが出来なくなる。


そんなの、嫌だよ。