早く俺を、好きになれ。



なんでそんな顔をしてるの?


わけがわからなかったけど、この場から逃げるように歩いて行く虎ちゃんの背中を無言で追いかけた。


スラッと綺麗な後ろ姿。


ふわふわ揺れる汗で乱れた色素の薄い髪。


かなり着崩した制服。



「虎ちゃん……何かあったの?」



バスケ部員の好奇の目と冷やかす声が聞こえなくなった時、私は疑問を投げかけた。


私の声に虎ちゃんはピタリと足を止める。


そして私に振り返った。



「それ、俺のセリフな」


「え?」


「俺、バカだけど。咲彩のこといつも見てるから、わかっちまった」



フッと笑いながら、でもとても寂しげに声を絞り出す虎ちゃん。


見たこともない虎ちゃんの姿に、ありえないほどの不安が胸に押し寄せる。


わかったって……なにが?


なんだか変だよ、虎ちゃん。



「とりあえずそこの公園に入ろうぜ」という虎ちゃんの声に頷いて、私たちは再び歩き出した。



「ミルクティーでいい?」



公園の中の自販機の前で、虎ちゃんが私に聞いて来た。



「いいよ、自分で買う」


「いいから。待っててくれたお礼だし」


「でも」


「咲彩。俺がいいって言ってんだから」



財布を出そうとカバンに突っ込んだ腕を掴まれて、動きが止まる。