あの笑顔を私に向けて欲しい。
武富君、あなたのことが大好きだよ。
だけどね……。
武富君が私を見てくれることは絶対にない。
2人の幸せそうな顔を見て……強く強くそう実感させられた。
それでも諦められない時は、どうすればいいのかな?
「じゃあな、虎。今度は俺が大活躍すっから覚悟しとけよ」
「コジローの言うこと、期待しねーで待ってるわ。じゃあな」
「はぁ?覚えとけよ。そのうちエースの座を奪ってやるからな」
「おー、頼もしい限りだな」
うつむいていると、そんな声が聞こえて顔を上げた。
解散したんだろう。
ゾロゾロと出て来るバスケ部のメンバーたち。
入口にいた私は、注目の的。
なんだかニヤニヤしながら見られている気がする。
「いいよなー、彼女がいる奴は。あー熱い熱い」
「虎ー、彼女が待ってんぞー」
「早く来いよ、バーカ」
いつもなら言い返すところだけど、今はそんな気になれない。
「なに?今からデート?そりゃ打ち上げに来れねーわけだ」
肘でツンツン突つかれたり、ニヤニヤしながら見られたり。
虎ちゃんも注目の的。
うつむきながら、聞こえないフリを決め込んでやり過ごす。
「テメーら、マジうっせー。咲彩、ごめん。行こうぜ」
心配そうに私を見る虎ちゃんの顔が、なんだかいつもと違っている。
真剣な瞳。
憂いを帯びた雰囲気。
試合に勝ったっていうのに、今の虎ちゃんはとても喜んでいるようには見えない。



