「ホント申し訳ないんだけど、これから予定があって……すぐに出なきゃいけないの」
ギャラリーを下りて体育館の外に出たあと、蘭が申し訳なさそうな顔を見せた。
ここに2人の姿がないことだけが今の私にとっては救いで。
胸は苦しいままだけど、なんとか息が吸えるようになった。
目の奥にチリチリと焼き付いて離れない2人の姿を頭から取り払って、歯をくいしばる。
大丈夫、泣かない。
絶対泣かない。
「大丈夫だよ。私は虎ちゃんと帰るから」
今学校を出たら2人に会うかもしれない。
そう思うと、とてもじゃないけど今は学校を出る気にはなれなかった。
次に会ったら……きっと私は涙をガマン出来ない。
今ならまだガマンできるから。
「ごめんね、じゃあまた月曜日に!また今度話聞かせてね」
念入りにオシャレをしている蘭。
これからクラスの子とでも遊びに行くのかな。
「ありがと、またね」
腕時計を見ながら足早に歩いて行く蘭の背中を見つめる。
良かった。
最後までちゃんと笑えた。
蘭の前で泣いちゃダメだと気を張っていたからなのか、いなくなった後の反動がキツい。



