「うふっ、見たぞー!」
語尾にハートマークでも付きそうなほどの甘ったるい声で、ニマニマしながら私を見つめる蘭。
なんだこの妖しい笑顔は。
可愛いけどさ、なんだか嫌な予感しかしないんだけど。
うふってなんだよ、うふって。
キャラじゃないくせに。
思わず白けた目を向けてしまう。
「さっき、虎に何を渡してたのかな〜?」
「なにって、ミサンガだけど」
「へ〜え!ミサンガね〜!」
意味深にふむふむと頷く蘭。
明らかに疑いの目を向けられて、何か言いたそう。
「別に深い意味はないからね?親友のよしみで編んだだけだから」
「咲彩はそうでも、虎の方はどうかな〜?」
「な、何言ってんの。虎ちゃんだって、何とも思ってないに決まってるでしょ」
「それはどうだろ〜!」
はっきり核心を突いて来ない蘭。
前までこんなことは言わなかったのに、なんなんだよ急に。
「虎ちゃんだって、もらえるなら誰からでもよかったんだよ。私に頼んだのは気まぐれだよ、気まぐれ」
そう、深い意味なんてないんだ。