「行ってきます。」
靴を履き、ドアを開ける。
羽川 あおい 今日から中学三年生になる。

青空が広がる快晴。
「おはよー!」
朝から飛び交う元気な声。
とても気持ちのいい朝だった。

だけど、私の目の前からは
「ねぇ、ルイくん!おーはーよーっ!」
甘い甘い声。甲高い声の持ち主は、
私の彼 「高崎 ルイ」 と一緒に登校している。
私はルイと登校したことがない。
2人は見せつけるかのように前を歩いている。こんな出来事は1日で終わればいいのだが、毎日続く。しかも、違う女を連れて。
「あおー おはよ。」
「おはよう。高崎さん。」
「なんで名字で呼ぶの?俺達付き合ってるんだよ?」
「そういうことは一緒に登校している人を見てから言ってください。」

このやりとりも、光景も、もう慣れてしまった。