「ふぅ~。」
と潤がため息をつく。
読んでいた本をパタリと閉じ、う~んと背伸びをした。
結局、嫌な予感が消えないまま幽霊マンションに行く日が来てしまった。
「まぁ、大丈夫でしょ。」
と呟き、時間を見ると午後3時だった。
集合時間は7時なのでまだまだ余裕があった。潤の部屋は2階にあり、まだまだ太陽は元気いっぱいにアスファルトをじりじりと焼いていた。
「さて、まだまだ時間あるし、何しようかな?宿題...はまだやる気がでないにして。」
と呟く。夏休みの宿題はいつもギリギリで徹夜をするタイプなのだ。
すると、「ピンポーン」とチャイムが鳴った。
「はぁ~い。」
っと1階にいる母親が対応する。
「誰だろ?なんかやけに親しげに会話してるけど。」
と、潤が思っていると、
「潤!お客さんよ!」
と下から母親が読んだ。
(俺に?)「はぁい!今行く。」
と叫び、急いで下に降りて行った。
階段を降りて行くと、母親がニヤニヤして潤の方を見てきた。
「あんたも、彼女が出来たなら言いなさいよ~。」
とまたもニヤニヤしながら言う。
「はぁ?」
と言いながら玄関を見ると、開いた扉の向こうに実梨花が立っていた。