赤いボールペン




大学に着くと、その広いキャンパスの中の一つの校舎に向かってまた歩き出す。


みんな講義を受けるためにそれぞれの教室に向かうわけだけど、今からわたし達が受けるのは全学年対象の講義。


もちろん教室もとても広い。


教室というよりかは、大講義室。


一番最初受けた時は、大学生っぽい!なんて感動したけど、今じゃ迷いもせずにいつもの定位置に席を取る。


その周辺にはもうすでにいつもの顔ぶれが揃っていた。


「すず、ひかり、おはよー」


ちゃんとわたし達両方の顔をちゃんと見て挨拶してくれるのは、小林春奈。


見た目はすごく美人なお姉さん!って感じだし普段もしっかり者なんだけど、たまに頭がおかしくなる。


「春奈おはよ。よっしーもおはよ」


「朝から不吉なもん見たわ」


吉澤達哉。こいつは春奈の彼氏。


わたしや春奈よりも背が小さいんだけど、態度は誰よりもでかくとにかく毒を吐く男。


不吉なもんというのはわたしの顔らしいが、そんなことを言われるのも慣れてるので、完全にスルー。


代わりに春奈がよっしーの頭を引っ叩いていた。


「マフラーは早いっしょ」


「あたしも朝言った、それ」


すずはそう言って、坂本良太の横に座った。


良太はわたしを見て言ってるらしい。


「どう考えたって寒いっしょ〜」


良太の左隣に座ったすずの、後ろにわたしは座り、マフラーを外して膝掛けの代わりにした。


良太は後ろを向いて、まだ何か言いたげで。


「何さ?」


「お前そんなんじゃ冬越せねーよ?」


「大丈夫。まだ手袋とヒートテックが残ってる」


真顔でピースを向けると、なんだよそれって勢いよく笑う良太。


大学にいる男友達の中で一番仲が良いと言っても過言ではない良太は、いつもわたしが言ったことに一番ウケてくれる。


ちなみに背はよっしーよりもわたしよりも高い。


175センチくらいかな?