赤いボールペン




「ねー思わない?世のカップル達は、どうやって出会って、どうやって付き合ったのかなーって」


「あー、まあ確かにそうだね」


「あたしに春はいつくるの?」


「知らんがな…」


「ひかりが男だったらよかったのになー」


「わたしはもっとおしとやかな女の子がいいので」


手の平をすずに向けてごめんと言うと、きーっ!と怒ってその手をポカポカ殴り出す。


わたしとすずは身長差が14センチあるから、一生懸命腕を上げてる姿が可愛らしい。


つい、笑ってしまう。


「ひかりくらい身長が高かったなー」


「わたしはすずくらい小さくなりたいよ」


164センチという身長は、わたしにとってはそこそこコンプレックスだったりする。


昔から小さな女の子が羨ましくて、自分を小さく見せようと猫背がちになってしまうのがわたしの癖だ。


「えーでも背が高いから、そのグレーのチェスターコートも似合うんだよ」


「男みたいじゃない?」


「そんなことないよ!スラッとしててかっこいい!綺麗!」


少し笑いながらありがとと返すと、ニコニコしながら嬉しそうなすず。


キャメルのダッフルコートがよく似合っている。


逆にわたしはそれ、着れないなあ。