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「じゃあ続きは来週にします」
先生の言葉と同時に立ち上がる学生達と、その音につられて体を起こす4人。
こいつら真剣に受ける気皆無だな…。
それぞれの様子を見ながら、ノートやらシャーペンやらをリュックにしまう。
ノートの貸し出しの見返りは何にしようかな。
そんなことを考えながら視線を下に向けたままでいると、ふと左側に誰かが近づいてきた気配を感じた。
顔を向けると、正確には左側ではなくて左後ろに、先輩が立っていた。
また、イレギュラーだ。
「先週インク切れたからさ、買ったよ」
先輩の手には、中の赤いインクがよく見えるボールペンが握られていた。
種類は前のと全く同じもの。
「おそろいだ!」
「えぇ?その発想はなかったわ」
「え!先週から思ってましたよわたしは」
「誰でも持ってるからな〜」
確かにどこにでも売ってるような安いものではある。
けど、今わたしのペンケースに入ってるそれは、他のとは全然違う、すごく特別なものなんですよ先輩。
「山村さんは、学部どこ?」
名前!呼ばれた!!
