赤いボールペン




いつもは憂鬱なはずの月曜日なのに、今日はすこぶる気分がいいわたし。


寒いのは相変わらず、いや絶対気温下がったんだけど、天気が良くて気持ちいい。


冬は好きじゃないけど、空気が澄んでるのは嫌いじゃない。


今日も改札を出ると、すずがわたしを待ってくれている。


「おはー」


「おはよ〜。寒いから急ぐよ!」


ぐいっと腕を引かれ、ポッケに隠れていた手が露わになる。


ぬくぬくと温まっていたわたしの左手は、生きているとしたら多分すごい悲鳴を上げるだろう。


ひんやりなんかじゃ言い表せない冷たさで一気に指先まで冷えた気がした。


「走りたくないんですけどー!」


「これのがあったまるし!ほら足動かす!」


ズルズルズルズル。


小さなその体のどこにそんな力が隠れてるんだい、すずたん。