赤いボールペン




わたしも適当に前髪を直して、下ろしたリュックから必要なものを取り出し机に並べる。


少し遅れて先生が教室に入ってきて、すぐに講義は始まった。


あ、そーだ。


ペンケースから赤いボールペンを取り出した。


それを見ると、さっきのことを鮮明に思い出す。


昨日聞いた時の印象より声高かったな、とか。


笑った顔初めて見たな、とか。


そういえばわたしのことちゃんと認識してくれてるんだな、とか。


入学してからすぐこの5人で固まって、ずっと同じような毎日を過ごしてきた。


毎日4人と顔を合わせて、毎日4人としか話さないで、たまに先生とかとも話して。


だから、とにかく、この出来事はあまりにも新鮮で。


見てるだけだった彼と話せるようになったことが、純粋に嬉しかった。


また、月曜日。


早く1週間経たないかな。


まだ火曜日も終わってないのに、わたしはそんなことを考えていた。