まあ、いっか。


来週になればまた会えるだろうし。


「あ、わたし今日カツ丼にしよ!」


「ひかりも?あたしも迷ってたんだよね〜」


「もっと女らしいモン食えよ」


学食組のわたしとすずと良太。


弁当組の春奈とよっしー。


食堂に来ると一旦この組み合わせで別れて、先に春奈達がわたし達の分まで席を取ってくれるのが暗黙の了解になっている。


カツ丼を見た瞬間にわたしの頭の中はそれでいっぱいになってしまって、すぐに彼のことは忘れてしまっていた。


いつも通りと言えば、いつも通りだ。


ご飯に勝るものはないからね。


だけど、なぜかふと思い出した。


最後に拾った彼のボールペン、わたしと同じ赤いボールペンだったなって。


どこにでも売ってる、誰でも持ってるようなものだけど、なんでだかそれのことだけは印象に残ってて。


いつも通りの日常に、少しだけ、いつも通りじゃないことがわたしの中で残っていた。