やっぱり海は冷たかった。

夏用とはいえパジャマがはりついて気持ち悪いし、
体が重い。

うまく着水できたのか、体は思いの外痛くない。



「はぁ…! ヨウルア!どこ?」



あたりを見渡しても、098と姉の姿が見当たらない。


まだ飛び降りてないのか?



姉は目が悪いから、できれば
一緒に飛び降りてリードしてほしかったんだけど…。



「リズ!!」



すこし離れたところから声がして、
振り返ると098が姉を担いだまま、
こちらに泳いできている。



「ヨウルア!」

「リズ!はやく、泳いで!港まで、がんばって!」


「…うん!!」



098は私の脱出に全力を尽くしてくれてる。

いい調子だ。



あと少し。

港まで、あと少しだ。