「もうちょっとマシな嘘つけよ。
俺たち出会ってまだ1カ月も経ってないから 笑」
それなりね。
バカではないようだけど。
「よく気がついたわね」
「そりゃどうも。もういいか。
俺も暇じゃねーんだよ」
「待ちなさい。」
098の前に仁王立ちし、
大声で宣言する。
「私、あの会社を継ぐわ。
いいの?名前 売っとかなくて。
私が必ず大会社にしてみせる。
財産も相当期待できるわよ。
あなた、金で動くんでしょ。
私、上客になると思わない?」
あっけにとられて、しばらくタバコを咥えたまま
動かなかった。
そしてまたくくっと笑って
「いつでも呼んでくれ。だが、俺は高いぞ。」
と言って、私にメモを渡し 馬車に乗り込んだ。
「じゃあな」
馬車はねじをまいてもらったオモチャみたいに
ぱかぱかと規則的な音を立てながら、
森に消えて行った。