書斎を抜け出し、
屋敷の門まで走る。


「よかった…」


まだ、馬車がある。

098はまた帰ってない。




「では、今月中に送っておいてください。
金は こちらで引き換えておくので。」


「ありがとう。助かった。」



来た。

098と父親の声だ。

馬車の影に隠れて息をひそめる。



「じゃ、見送りはここまででいいので。
またいつでも連絡してください。」


「そうか。わかった。ではここで。」


「はい」


098の足音が近づいてくる。

屋敷の門が閉まる音が森にこだまする。