主争奪魔法学園

俺の耳が拾った王様の言葉はそれが最後。視界が霞みそのまま意識を失ったのだ。瞼を上げるとそこは城の中ではなく自分の家の玄関だった。体が床と密着していて目に映る景色は横になっていた。誰もいない、埃だけが静かに舞っている部屋。
あぁそうか。お父さんはいないんだ。
心の中で呟いた。目から溢れ出てくるあついものはなんなのだろう。
嗚咽の様な自分の泣き声が部屋の空気を乱していった。

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それからずっと一人で生きていた。ある小さな店の手伝いをして金銭を稼いでいたが一ヶ月の生活費には満たなかった。空腹に耐えられない時は盗みを働き、体を清潔に保つために川で水浴びをする・・・そんな毎日が永遠に続くと思っていた。しかし、それは突然覆されてしまったのだ。

俺に呪いをかけた王様が病気で亡くなった後、地位の高い者同士で王の座を奪い合い戦争が起きた。
俺は不死身のためどれほどの傷や火傷を負っても数分で治ったが、城や城下町、小さな村も焼け野原へと変わってしまい俺の暮らす場所はなくなってしまった。空腹感は強くなっても必ず死なないということが地獄だった。
そんな時、突然焼け野原に訪れた男性がいた。その男性は辺りを見渡すと俺に喋りかける様に大きめの声で言った。

「うっわ、ひでぇザマだなこりゃ」

男性と目が合うが俺は睨み返してからふいとそっぽを向くと少し焦げ跡のある切り株に身を預けて眠りにつく準備にかかった。

「お前もひでぇ奴だな。挨拶くれぇしろよ〜」

「・・・アンタ、誰」

食わず飲まずの死にかけた喉から掠れた声を出す。するとその男性は背負っていた大きめのリュックの中をしばらく漁ってからそこから取り出したものを二つ俺に投げつけた。

「ほれ」

「うぉ・・・水と、パン」

「その調子じゃ何も食ってねぇんだろ。食えよ」