主争奪魔法学園

「やめなさい二人とも。斎藤くん、そのブレスレット外して。また魔法使われたら困るから」

"魔法"…私はまた神崎さんの口から出たその単語に反応する。

「神崎さん、さっきから魔法魔法って…どういう意味ですか?」

「………え?」

私の質問に対して凌太と神崎さんが揃って間抜けな声を出す。すると凌太が苦笑しながら私に問い質してきた。

「えっと…巳鶴、もしかしてここがどーいう学園か知らずに入ったのか?」

「え、いや、まぁ…ただ単に校舎が綺麗だなとか、イベントが楽しそうだなとかって思って…」

私の答えを聞くなり凌太は肩を落とし、神崎さんは壁に手をついて頭を抱えてしまった。

「…斎藤くん、私これから会議だから学園のことを詳しく教えてあげなさい」

神崎さんは脱力感ある声でそう言うとそのまま校舎へと戻ってしまった。
気まずい沈黙が部屋を満たす。凌太と話すのは確か四年ぶりだったはずだ。
私と斎藤凌太は家が近かったことから幼稚園から良く一緒にいた。いわゆる幼馴染みだったのだが、小学校6年の時に凌太は親の都合で引っ越してしまった。それ以来連絡も取らずにお互いにただの思い出の人になってしまっていた。
沈黙に耐えれなかったのか凌太が目を合わさずに口を開く。

「それにしても、良く俺だって分かったな…四年も会ってなかったどころか声も聞いてなかったのに」

「…そっちこそ。私髪切ったのに分かったじゃん。私のこと覚えてたんだ」

一緒に風呂に入ったりしてた相手なのに…久し振りに一緒に喋るとなると凄く緊張してしまう。

「別に…お前との記憶なんて取り忘れで半年くらいキッチンの隅で放ったらかしにされたゴキブリホイホイみたいなもんだよ」