頭が痛い。気持ち悪い。吐きそうだ。
喉で何かが詰まっている感覚が気持ち悪くて足掻いてしまいそうになる。
こいつは・・・王様は、本当のお父さんを知らない。
お父さんが、どれほど俺のことを大切にしていたか。俺が、どれほどお父さんを大切にしていたか知らないんだ。

「アンタに!お父さんの何が分かる!」

俺を押さえていた魔法使い達の手を全身を使って力づくで振り払うと王様に頭突きをした。俺の突然の行動に魔法使いは戸惑い、王様は痛み苦しみながらおでこを両手で覆う。

「殺人鬼だろうがなんだろうが俺の大切なお父さんだ!お前みたいな奴の汚ぇ口からお父さんの名前を出してんじゃねぇ!!呪うぞ!!!」

「呪われるのはそなただ!」

暴れて出した俺に怒号を浴びせたのは王様だった。王様は立ち上がるとその怒号から言葉を繋げた。

「そなたにはやはり父親と同じ悪の血が混ざっている。周りに害が及んでしまう前にその血を浄化させよ」

「は?ワケ分かんないこと言わないでくれる?」

「そうか。馬鹿な者には少々難しい話だったかな。簡単に言うと・・・父親の罪を代わりに償え、ということだ」

王様の言葉に耳を傾けて油断している隙に後ろからまた体を床へ押しつけられてしまった。すると、今度は別の魔法使いが俺に近付いてきて俺に向けて呪文を唱えた。
何を言っているのかは分からなかったが、炎属性であることと簡単な魔法だということにはすぐに気が付いた。
魔法使いの手のひらから炎が出たその直後だった。炎は俺の左の二の腕へと焼き付いてきたのだ。
声にならない叫びを上げて手枷にはめられている手首を震わせる。足も体も押さえつけられてるため二の腕の痛みをぶつける場所がどこにもなかった。

___ただ、心はひたすらお父さんを探していた。

炎が二の腕の周りから姿を消す。まだ痛みは宿っていたがそんなことは気にしていられず二の腕を目に移す。そこには"Leo"という文字が焼印として残されていた。

「そなたは、大罪人レオの身代わりとして罪を償え。今日からそなたは罪を償い終える日まで不死身。永遠の十五歳ということだ」