「はっ・・・な、んで・・・はぁっ」

「喋るな。呼吸を整えろ」

レオは深呼吸を繰り返す。他人に頼ったのは初めての事だった。呼吸は落ち着いても涙は止まらなかった。自分が他人に頼らなかったから。皆に隠し事をしていたから。勝手な行動をしたから。巳鶴をこんな目に遭わせてしまったのだ。

「ごめん・・・ごめんなさい・・・」

「分かったから、お前自身のことを話してくれ」

涙を流すことをやめると双子の座っていたソファに腰を掛けその言葉通り自分自身を語り出す。

「自分がいつ生まれたのかなんて覚えてない。でも、この学園が創立された時にはもう呪われてた」

氷賢学園が創立されたのは百年程前。校風が綺麗なのは数回建て替えたためだ。

「つまり百年以上生き続けてるってことか」

凌太のその呟きから昴が言葉を繋ぐ。

「ねぇ・・・"櫻木レオ"って本名なの?」

その問いにレオは重たく首を横に振る。

「自分の名前なんてわかんない。でも、俺の二の腕に・・・シャツで隠してたけど"Leo"っていう文字の焼印がついてるから、レオは多分本名。櫻木は適当につけた」

それを聞いた凌太はすぐさまレオのシャツを脱がした。確かに左の二の腕には新しいとは言えないと思われる"Leo"という焼印があった。

「・・・お前が呪われる前のことを話してくれるか?」

レオはゆっくりと頷くと覚えている範囲での過去を語る。