レオの属性が絶賛迷子中なため頭を働かせるがその思考の終着点が見つからないまま屋上の扉が私の名前と共に勢い良く開いた。

「巳鶴!」

息を切らして私を探している凌太の姿を見るのはこれで二度目だ。凌太は怖い顔をして私の手首を掴んできた。

「何してんだお前!」

「いっ・・・凌太痛い」

「あのオーブお前が作ったんだろ!?何勝手にアイツと契約してんだ!」

「別に私の自由でしょ!?私の意思で主になったの!凌太には関係ない」

「ふざけんなっ!!」

凌太の怒鳴り声に肩が跳ね上がり体が固まった。

どうして怒鳴るの?
どうして傷ついた顔をするの?
どうして心配するの?

「お願いだから・・・勝手なことすんな」

どうして悲しい瞳をするの?今にも泣き出しそうなその瞳を私は見たくない。わけもわからず心の中で謝る。

私は無意識に両腕を凌太の後ろへと回そうとする。凌太を守りたい。凌太に守られたい。凌太の隣にいたい。

___よくわからない。

「俺の主に触らないで」

私の手首が凌太の手の中からするりと抜けた。レオが私を引き寄せたのだ。
数秒間空気が沈黙で満たされると校庭の方から拍手が送られてきた。生徒会メンバー、私とレオ、神崎先生が屋上から見下ろすと理事長がこちらに向かって拍手していることが分かった。そしてマイクを持って喋り出す。

「秋星巳鶴くん、櫻木レオくん。君達は生徒会に入りなさい。その技術と行動力がこの学園でも良い傾向で使われることを願おう」

理事長はそれだけを言い残すと校舎内へと戻って行った。もしかして、こうなることをレオは全て知っていたのか?レオなりのテストって・・・理事長まで巻き込んだの?

「レオってすごい・・・」

「俺がすごいことくらい知ってる」

笑みを浮かべながら満足気にそう言う。レオといると安心してしまう。凌太とはまた違う別の感情。どっちが正しいかなんてあるのだろうか?
そんなこと、馬鹿な私には分からない。
でも、今一番喜びたいことがある。

「生徒会に、入れるね」

これで蛍の力になれる。少しでも役に立てれたらそれでいい。

「・・・巳鶴!?」

誰かの腕に身を預けた私はそのまま意識を飛ばしてしまった。