主争奪魔法学園

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「ねぇ、何でレオまで入る必要があるの?」

場所は生徒会室から変わって学園の寮のレオの部屋。私とレオの二人だけのこの空間で私はレオへの疑問をぶつけていた。レオは私を鬱陶しそうな目で見てくるがそんなことはお構いなし。友達のいないレオには鬱陶しいくらいが丁度いいだろう。

「ねぇ、何で?ねぇ!もしかして私のため?」

「うるさい。鬱陶しい。勘違いしないでくれる?俺が生徒会に入るのは蛍のためだから」

「え、蛍?」

突然出てきた蛍の名前に戸惑う。私の様子を見てレオは思い出したかのように説明してくれる。

「そういえば巳鶴は寝てたんだっけ。蛍が今日話してくれた、巳鶴から見て王子様みたいな奴。蛍からすれば命の恩人の奴がこの学校にいるから生徒会に入ってそいつを探すのを手伝って欲しいって頼まれたの。生徒会なら先生との交流も普通の生徒と比べれば多いし、生徒の情報が間近にあるからって」

レオさんから事情を聞いて私の心境が一気に変わった。生徒会にレオはともかく蛍が入ってくれるということは男だけの空間に女の私一人という状況がなくなるということだ。更にこれを機に蛍との交流も増えていくのだ。男まみれのこの学校で同性と過ごせるだなんて私にとって砂漠の中にあるオアシスで泳ぐ様な時間・・・もういっそそのオアシスで溺れてしまいたい。

「レオ。生徒会に入って共にオアシスに溺れようじゃないか」

「一人で溺れてきなよ。太平洋で」

相変わらずの塩対応にはもう慣れてしまった。レオはこんなことを言っているが、必ず有言実行する男なのだと私は知っている。レオは凌太に似てるから。私の頬が緩んでいく。ニヤニヤしている私を見てレオは虫を見るような目を向けてきた。

「ちょっと、気持ち悪い笑い方しないでくれる?」

「いや、蛍もレオも一緒に生徒会に入るのが嬉しい気がして・・・出会ってまだ間もないけど、信頼してもいいかなって」