主争奪魔法学園

そんな独り言は誰の耳にも届かない。私は我に返ると未だに自分達の世界でお互い殺気を浴びせあっている3人を見て少しイラつく。いい加減に話を本題へと移したい。

「ねぇ、用事がないなら私帰るよ?あと他の生徒会メンバーは?」

「あぁ、今日は巳鶴の性別を知ってる奴らで集まることにしたんだ。巳鶴の性別を知ったうえで生徒会にいれるかどうか話をする」

凌太は放っていた殺意をしまう。それを合図に他の2人からも殺意は伝わらなくなった。が、レオの眉間には皺が寄ったままだった。レオは隣に来ると私の頭を自分の体に抱き寄せて凌太に
意見を飛ばす。

「巳鶴が生徒会に入るなら俺も入ります」

「駄目だ」

勿論凌太はレオの意見を否定した。即答だった。レオは不満気な顔をして私の頭から手を離すと自分の意見を述べ続ける。

「理由は?一年だからですか。一年は巳鶴以外はいらないということですか」

「そういうことだ。優秀な人材を持った生徒だけが生徒会に入る権利を与えられる」

「俺がどんな人材かも知らないくせに候補にさえもしてくれないんですか」

レオと凌太の言い合いが途切れることはない。私はその口論に耳を傾けることしか出来なかった。

「お菓子とお茶はいかが?」

昴先輩の気遣いに私はありがたく甘えて椅子に座ると机に並べられた紅茶とショートケーキをいただく。私がケーキを食べ終え、紅茶を飲み終えてもまだ口論は続いていた。一体何を口論する必要があるのだろうか・・・何故私が生徒会に入るという理由でレオまで入ろうと考えているのだろうか。

「・・・俺が優秀な人材だってことを証明すれば生徒会に入れるのか?」

「そうだな」

「じゃあ、次のテストで上位三位に入る。これなら生徒会にも入れるでしょ?」

レオのこの言葉に凌太の右眉が上がった。が、すぐに下がり眉間に皺を寄せる。

「・・・何でそのルールを知ってんだ。それは生徒会と職員しか知らないルールだったはずだ」

「風の噂」

凌太は一瞬何かを考えるように黙るとレオの目をまっすぐ見てレオの意見を受け入れた。

「分かった。テストの総合点で上位三位にいることが出来たのなら生徒会に入れてやる。例え巳鶴がテストで良い成績をおさめなくてもレオが上位三位にいれば二人同時に生徒会入会だ。これで話は終わり」

「はぁ!?」

凌太のまとめた意見に勿論私は納得の意を見せなかった。