主争奪魔法学園

勿論、昴は凌太のその言葉に即答した。

「好きかもしれない。秋星くんのこと」

その一言で凌太の心境が一気に変わった。油断してしまった・・・凌太は心の底からそう思っただろう。昴は凌太の心境も知らずに次々と喋っていく。

「秋星くんは心が綺麗だ。俺の魔法に純粋に感動してくれて純粋に褒めてくれた。それに、女性と比べても良いほど・・・か、可愛い」

昴の声が次第に小さく弱くなっていく。頬もみるみる赤く染まっていく。初めてみた昴の恋する表情に凌太は応援せざるを得なくなった。だが、応援など出来るはずもない。自分だって巳鶴のことが好きなのだから。しかし、昴に巳鶴の性別を隠し続けるということは昴を苦しめることになる。自分の仲間が苦しむところなど凌太は見たくなかった。恋の病はどの病気よりも煩わしいもの。恋の病の苦しさを何年も感じていた凌太にそれを見守る勇気はない。
凌太は拳を握ると重たい口を開いた。

「巳鶴は・・・」

___キーンコーンカーンコーン

タイミングが良いのか悪いのか凌太の言葉を学園のチャイムが遮った。

「予鈴だな・・・授業だ。話はまた後でゆっくりする。放課後生徒会室で集まるのは俺と昴と巳鶴だけにするぞ」

それだけ昴に言い放つと背を向けて教室へと向かってしまった。昴もその背中を追いかけるように教室へと足を運ばせた。