主争奪魔法学園

学園の規則や他の学校と違う事などを神崎さんに教えられながら寮へと向かう。暫く歩き続けてやっと寮らしき建物が見えた。すると神崎さんが可笑しなことを言い出した。

「あれ、秋星くんは女子だから魔法を使うには男子よりも二倍の精神力が必要なはず…」

「え？魔法…？」

＿＿＿ドーーーン！

私が神崎さんに聞き返すと同時に寮から爆発音がした。爆風で舞った砂埃が私を包もうとしたその瞬間、神崎さんが私の前に立ち右手を左から右へと、まるで砂埃を斬るかの様にして流した。すると不思議なことに先程舞っていた砂埃が綺麗に私と神崎さんを避けてそのまま空へと消えてしまった。不可解な光景に呆然とする私に構わず神崎さんは大声を上げる。

「こらー！教員の許可なく魔法を使うとは良い度胸だな！誰だ！？出てこい！！」

「ん？あ、神崎じゃん。こんな所で何してんの？覗き？」

寮と思える白い建物の窓から金髪の男が顔を出し神崎さんにニヤニヤしながら話かける。あれ？あの男の顔…見覚えが……神崎さんはその男の顔を見るなり怒るのをやめて普通に喋りだした。

「なんだお前か。お前なら魔法使うなっつっても意味ないから説教は諦めるわ。てか教員が覗きなんかするわけないっしょ」

少々呆れた表情をしながら神崎さんは私を寮の部屋まで案内してくれる。幾つもの部屋の扉がある廊下で神崎さんが足を止めたのは201号室と掲げられた部屋だった。神崎さんは201号室の扉を二回ノックすると入るぞと言って扉を開けた。

「うぉ！？神崎やっぱり覗き？」

扉の向こうには先程窓から顔を出して神崎さんと話をしていた金髪の男がいた。

「誰が覗きだ！今日からこの部屋に一年生が一人入るぞ。名前は秋星巳鶴。可愛い顔をしているからって襲うなよ」