主争奪魔法学園

___「以上をもちまして氷賢学園入学式を終了致します」

理事長が体育館のステージで入学式終了を告げると生徒はそれぞれバラバラになって体育館から去って行く。そこで私は入学式までの時間、理事長室にいたため自分のクラスを確認し忘れてしまったことに気付いた。今すぐ生徒玄関にある貼り紙で確認しないと…そう思い私も男子の群れに混ざって体育館から出ようとした。が、中々人混みに流れることが出来なかった。

「どうしよ、早くしないと…」

「秋星くん!」

上手く人混みに入れるタイミングを見計らっていたら後ろから腕を引っ張られた。聞き覚えのある声…振り返るとそこには神崎さんの姿があった。

「大丈夫?」

「はい、ありがとうございます。てか、私のこと秋星くんって…」

「今のあなたは男子なんだから、くん付けするのは当然でしょ。一人称も僕か俺に変えときなさい」

小声で私にそう言うなり神崎さんは私の手首を掴んで体育館の外へと誘導してくれた。性欲の塊の群れに混ざっていたせいか体育館の外の自然の空気がとても美味しい気がした。私は深呼吸をすると再び神崎さんについて行く。理事長室に置いた荷物を取るとそのまま寮まで案内してくれる。

「…あの、神崎さん。入学式が終わったら普通自分のクラスに行くんじゃないんですか?」

「普通の学校ならそうかもだけど、この学園は違うの。登校初日は入学式さえ終えればあとは自由。友達を探すも良し、家に帰るも良し、寮に帰って寝るも良し」

「ほんとに自由ですね…」