主争奪魔法学園

「失礼な!お前達に比べれば確実に頭は良いに決まってんだろ!調子に乗るなよこの童顔!」

私は声を荒げて深月くんにそう言い放つ。勿論、私の言葉に深月くんも黙ってはいない。

「何ぃ?どっちが調子に乗ってんのさ!てか君だって充分童顔じゃん!それに僕のが先輩なんだぞ!?」

「はっ、一年早く生まれただけででしょ!残念だけど、身長の方は私の方が先輩でしたね?」

もう性別を偽っていることも忘れてしまい一人称は"私"になっていた。互いに嫌味を部屋に飛び交わせる。いつの間にか取っ組み合いになっていた。私と深月くんの間に他の男子が割って入る…が、それでも喧嘩はおさまらない。

「先輩ぃ?力が弱いですよ?もしかしたら力も私の方が先輩なんじゃないですか?」

「うるさい!本気を出してないだけだ!」

服を掴みながら一緒にギャーギャー言って部屋の床をゴロゴロと転がる。すると、その拍子に深月くんの手が私の微かに膨らみのある胸に触れて…揉まれた。

「あっ…!」

思わず変な声を漏らした途端、深月くんの動きが止まった。深月くんだけでなく、周りにいた男子全員の動きも止まっていた。
……や、やばい。どうしよ!
私は凌太に助けを求めようと凌太を目で探す。

「ぐー…がー…」

何で寝てんの!さっき『頼ってくれ』って言ったの誰でしたっけ!?寝ている凌太の背中を見つめていると私の胸の上にある手が再び動き出した。

「ちょ…んっ…や、やめ……変態が!」

「あぃだ!」

胸があることを確認しようとしたのか、手を動かし続ける深月くんのおでこに平手打ちをした。皆の様子を伺う…やはり私の声と反応に動揺を隠せていない。
ざわざわしている中、口を開いたのは昴先輩だった。

「秋星くん…服、脱げるかな?」

「無理です嫌です断固拒否です変態です」

昴先輩の頼みに私は息継ぎをせず全力で拒否する。