いや、正確に言えば"犯されそうになった"だ。幸い、私の抵抗で処女は守りきった。親が帰ってくるとその男は部屋の窓から脱走した。未だに捕まっていないらしい。
それ以来、私が一人で家で留守番することは無い。お父さん以外の男と話すことも無くなった。

話が終わると凌太は悲しそうな目をして喋る。

「何で昨日言わなかったんだよ。言ってくれたら、俺が付いてやったのに」

「ごめん」

「謝んな。これからは俺に頼ってくれ…頼むから一人で抱え込むな」

「…うん」

ごめん凌太。少し、男を信用しなさ過ぎた。凌太は、私の駄目なところ何でも受け入れてくれるんだよね。それは、昔と変わらない。

「それより、お前体調はどうなんだ?授業中倒れたって細川から聞いたぞ。寮まで一人で歩いたのか?」

「体調はもう大丈夫。寮まではレオが運んでくれたの」

レオ…その名前に凌太は反応した。

「レオ?誰だそれ」

「クラスメートの男子。レオは、私が倒れた時に保健室まで運んでくれて、色々と助けてくれて、また寮まで運んでくれたの」

レオのことを話すと、一瞬凌太の顔が曇った。どうしたんだろ…あ、もしかして何もされてないか心配してくれてる…のかな?

「だ、大丈夫!何もされてないから!女だってのはバレたけど」

「どーやってバレたんだ?」

しまった。思わず余計なことまで喋ってしまった。私は顔を引きつらせて答える。

「えーっと…保健室で色々ありまして…」

「そいつ今どこにいる」

ちょ、顔怖い!どうしよ、レオに死亡フラグが…!