「…る……つる!巳鶴!」

体が揺れている。誰かが私を呼んでる。誰だろう…あれ?確か私部屋に一人じゃなかったっけ。もしかして、誰か…部屋に潜んでたの?
嫌な記憶が甦る。嫌だ…嫌だ!助けて!!

「きゃーーー!!」

あまりの恐怖に耐えきれず私は思わず悲鳴を上げてしまった。

「来ないで!嫌!近寄らないでー!!」

寝かしていた体を起こして更に叫び続ける私の肩に手が置かれた。

「巳鶴落ち着け!俺だ!凌太だ!」

その声で私は我に返る。固く閉じていた目をゆっくりと開くと目の前に心配そうな顔をした凌太がいた。
知らない男じゃなくて良かった…震えていた手足が落ち着きを取り戻す。凌太の顔を見て安心した私の目からは大粒の涙が流れ落ちた。

「凌太…凌太、凌太!うわぁぁああ」

「どーした…うなされてたぞ」

抱きついて泣き崩れる私を凌太は優しく撫でる。凌太になら、一人が怖いこと…言える。

「…怖い…怖いよ」

「怖い?」

「うん…一人が、怖い」

そう言って私は中学の頃の事件を凌太に話す。

私が中学の時、家で一人で留守番する様に頼まれた私はリビングでくつろいでいたら二階から物音がするのに気が付いた。親が帰って来たのかと勘違いをした私は二階に上がった。すると、物音がしていたのは私の部屋。親が私の部屋に無断で入るなんてあり得ないと思って怒りながら部屋のドアを開けると、そこには私のタンスをあさっている顔も知らない明らかに不審な男がいた。男と目が合った私は近所に助けを求めようとした…が、間に合わなかった。
男につかまった私はそのまま服を脱がされて……犯された。