主争奪魔法学園

「えと…秋星巳鶴。これが僕の名前」

名前を教えてもらったのに自分が名乗らないなんて失礼なことはしない。

「…俺の前では僕じゃなくて私って言ってよ。そっちのが気楽なんでしょ?巳鶴」

「あ、うん。ありがと」

私がお礼を言うとレオは「別に」と言って立ち上がった。
もしかして……

「教室、戻るの?」

「いや、屋上。サボるんだよ」

…足、治るまで一人か。なんか、今は退屈って気持ちよりも、寂しいって気持ちの方が大きいかもしれない。折角凌太以外にまともに話せる男子が出来たのに…私のわがままなんて、聞いてくれないかな。

「サボるのってさ、屋上じゃなきゃダメなの?」

「え、どーいう意味?」

「……保健室じゃ、ダメなの?」

何言ってんだろ私。図々しいよね……やばい、迷惑掛けちゃう。私は急いで自分の言った言葉に訂正をかけようとする。が、私よりも先にレオが口を開いた。

「寂しいんだ?」

「うっ…」

くっそ…何でそういう事聞くのかな?

「さ、寂しかったらダメなの?」

「別に」

意地悪な笑みを浮かべたレオは再びベットに腰を掛けた。
……行かないの?屋上…もしかして、私のわがまま聞いてくれた?

「…いてくれるの?」

「寂しいんでしょ」

……なんか、最初の印象と全然違う。不機嫌そうな顔してるくせに、凄く優しい。
でも、一緒にいてくれるのはありがたいけど…何話せばいいのだろうか。

「あ、レオって寮に住んでるの?さっき私のズボン脱がす時に『俺の所の寮』って言ってたよね?」

「あぁ、うん。寮に住んでる。205号室」

「私も寮に住んでるの。私の部屋は201だから…近いね。家出したらそちらにお世話になるわ」

「やめてよ、超迷惑」