主争奪魔法学園

「……すー…はー……」

深呼吸して先生に言われた通り心を落ち着かせる。目を閉じて伸ばしている手を意識してそこに精神を集中させる。

「eauM解放」

呪文は私の意思ではなく無意識に私の口から声となって漏れていた。
呪文を唱えたその直後手首に飾られているブレスレットが光だし私の掌の中心に水玉が浮かんだ。

「ぅえ!?」

驚いて思わず声を上げた瞬間ブレスレットが輝きを消して浮かんでいた水玉が落下した。床に散らばった水は私の上靴とズボンの裾を濡らした。
その様子を見たポッ●ー先生は目を見開きながら拍手をした。

「素晴らしい…基礎学習無しで五分以内に水玉を出現させる生徒は始めてだ…」

「は、はぁ…てかすみません!今床拭きます…」

……あれ?なんか、頭がくらくらする。
なんか、視界がぼやけて…回ってる。私の脳内に凌太が言っていた言葉が響く。

『 女が魔法を使うとなると精神力を男の二倍も削ることになる』

嘘…女だからって言っても水玉を出現させただけで…こんなに疲れるの?足にも力が入らなくなってきた。

――倒れる――

そう思った瞬間私の体がふわりと軽くなった。私の視界に一人の男の顔が映る。

「馬鹿じゃないの?」

貶されているけど…どこか優しさがあったその声が耳に届いたのを最後に私の意識は飛んでしまった。