主争奪魔法学園

「…水属性の教室かな?それなら俺の教室と近いし、連れて行ってあげるよ」

私の左手首に飾られているブレスレットを見て水属性だと判断した副会長は優しく口角を上げて微笑む。この学園が共学ならきっとこの笑顔で星の数ほどの女子を虜にしてたんだろうな。

「助かります!ありがとうございます!えっと…」

そういえば昨日名前を聞いてなかったんだ…何て呼べば……

「神院昴(ジンインスバル)。これが俺の名前だよ。昴って呼んで」

「あ、はい!よろしくお願い致します、昴先輩」

「うん。よろしく、秋星くん」

まるで私の心を読んだかの様に名乗ってくれた昴先輩を心の底から凄いと思った。そういえば良く笑う人は怒ったら怖いんだよね。昴先輩には気を付けなきゃだ。
互いに微笑みながら長い廊下を歩き階段を二階程上がる。すると、"水属性Ⅰ"と掲げられた部屋が見えた。

「ほら、ここが水属性の教室だよ。西校舎の三階。覚えた?」

「はい!ありがとうございました」

昴先輩にお礼を言って頭を下げると昴先輩は「じゃ」と言って再び階段を上がって行った。私はその背中を見送ってから教室へと足を運ばせてドアを開ける。

「うっわ…男ばかり……」

周りには聞こえない声量でそう呟く。教室中、どこを見渡しても男、男、男!見るだけ…というか息をするだけで目眩と頭痛がする。

「ねぇ、邪魔なんだけど」

痛んだ頭を抑えていると頭の上から声が降り注がれた。俯かせていた顔を上げると私の目には超絶不機嫌といえる様な顔をした男が映った。

「聞いてる?邪魔って言ってんの。そこにいられたら教室から出られないんだけど」

「あ、すみません」