――翌日

気持ちの良い朝を迎えて爽やかに校舎へと向かう…はずだった。が、何だこの状況。
目覚まし時計の音が私を起こさせてくれたのだが、瞼を開けるとそこには凌太の寝顔がすぐ近くにあった。凌太の腕は私の腰をしっかりと抱いている。私がベットではなく布団に寝ていた様子からして…私は寝相が悪いためベットから落ちてしまったと考えられる。

「りょ、凌太。起きてよ…」

「んー…」

未だに熟睡している…朝から生徒会の仕事があるんじゃなかったのか!?凌太が起きる気配は一向にない。私の腰を抱く力が強くなった気がする。

「ちょ、いい加減起きて…凌太!」

恥ずかしさのあまり凌太の顔から目を逸らす。すると、凌太は私の腰だけではなく肩まで抱いてきた。そのため私の顔は凌太の胸に押し付けられる。息は出来るが心臓が張り裂けそうだ。

「ちょ、凌太!やめっ」

体を引き離そうと凌太の体を押すが、凌太は微動だにしない。寝ているのにどこからそんな力が出てくるんだよ。
ふと凌太の顔に目をやると瞼がうっすら開いていた。

「凌太!起きたか!早く離してよ」

私は必死に凌太に喋りかける。が、寝ぼけているのか凌太が私の声に反応している様子が見られない。

「ちょっと凌太、聞こえて…って、え!?」

凌太は私の顔を数秒見つめると私の後頭部に手をやってそのまま自分の顔へと近づける。

「ちょ、凌太、なにやって…」

やはり凌太には私の声が聞こえていない。凌太の唇と私の唇が段々と近づいていく。

「りょ…うた…いい加減に起きろぉぉぉおおお!!」

「ぶべらっ」

私の心臓がもたなかった。
混乱した頭で凌太に思いきり頭突きをした。案の定、凌太は鼻と口から血を流して起き上がった。