雲一つ無い澄んだ青空。開けていた窓から侵入してきた暖かな春風が私の頬を撫でる。今日は朝から気分も天気も良いため今日から私の日々の生活を過ごす場所となった氷賢学園(ヒサカガクエン)へと胸を踊らせて登校していたのだが、事件は突然起こったのだ。
私、秋星巳鶴(アキホシミツル)は現在学園の理事長室でソファに座っている理事長のネクタイをグイッと自分の方へと引っ張っている。

「すいません理事長、私最近耳が遠いのか先程の理事長の言葉が聞こえなかったのですが…」

鬼の形相で理事長の目をまっすぐと見る。他人から見ればただの恐喝にしか見えないだろう。

「で、ですから秋星さん。ここは男子だけが通う学園でして、女子は通うことが出来ないのですよ…」

私の低い声に顔色を変えながら答える理事長。理事長の言葉をきちんと聞き取り理解した私の脳には血が昇る。

「ちょっと待て!んじゃ何でその男子しか通えない学園に私受かっちゃってんの!?何で私が性欲の塊の群れに紛れて登校しなくちゃいけなかったの!?」

声を荒げて理事長の上半身を大きく揺さぶる。その行為に周りにいた教員が落ち着いてと私に声を掛けた。
まぁ私自身入学する前からこの学園には違和感を抱いていた。入学が決定した時に家に届いた制服はズボンだったし、入学案内や学園のパンフレットに載せられている写真に映っている生徒は全員男子だったのだ。私は一旦冷静になると落ち着いた声で質問する。