対応は激甘でお願いします

 朝そんな風に出会ってからは、特にこれといって変わったやりとりもなかった。

 まあ、私は事務仕事も窓口対応もあって、佐藤さんも会議だとかでろくに顔も合せなかったのだ。

 言葉を交わす暇もない。


 でも、口の堅さを確認されたあたり、やっぱり周りに言われたくはないんだろうし……。

 そう思うと、気軽に声をかけてしまうのもおかしいかもしれない。

 また帰りにでも声をかけよう。


 ――と、そう思っていた昼休み。

 
「三槻」
「は、はいっ」


 今日は大崎さんが地域に出てしまっているので、ひとりで食事を摂ろうとしていた。

 その時に声をかけられ振り向くと、背後に佐藤さんがやっぱり淡白な表情でこちらを見下ろしていた。

 なぜか鞄を持って。


「行くぞ」
「行くって、どこにですか?」


 なにかこの時間から予定なんて入っていたっけ?

 しかも佐藤さんと同行するようなこと……。

 身に覚えのないことに聞き返すと、「いいから来い」とお弁当の袋を取り上げられる。

 そしてさっさと行ってしまう佐藤さん。


「……静ちゃん、佐藤さんになにやったの?」


 そう斜め前の席の白井さん(臨時職員の40代女性)に、恐る恐る尋ねられる。

 けれどことの真相を話せるわけもなく……。


「な、なんなんでしょう、ね」


 そう適当に誤魔化しながら、私は慌てて佐藤さんの後を追った。