対応は激甘でお願いします

 私が慌てて訂正しようとした時、佐藤さんがどこか納得した様子で「なるほど」と呟く。

 なるほど?


「三槻」
「は、はい?」


 よくわからないまま返事をすると、佐藤さんが相変わらずこちらを見下ろして言った。


「お前、口は堅いか?」
「……言うなと言われたことは、言いませんが」
「そうか、よし」


 なにが?

 そう尋ねたい気持ちで首をかしげていると、その人は言う。


「三槻。お前明日から俺に甘くしろ」
「…………はい?」


 意味が分からない。

 佐藤さんというキャラに似合わない発言にさらに首を傾げる。

 すると、聞き分けの悪い子どもを見る様な目で見られた。

 なんでっ。


「仕事で他人に頼るのは嫌だから、精神面でフォローしてくれ」
「な、なるほど?」


 わかったような、わからないような。
 
 でも、頼るのが嫌いだと言っていた佐藤さんが言っていることだ。

 よほどのことな気がするので、基本的には協力させてもらおう。


「具体的には、なにをすればいいんですか?」
「そうだな。ちょっとした声かけとか、気遣いでいい。俺に優しくしてくれ」
「佐藤さんに、優しく……」


 なんだかとてもおかしなことを頼まれている気がする。

 そう思いながら、やっぱり疲れた様子の佐藤さんを見上げた。

 ……うん、多分。

 こんなおかしなことを言うほど疲れてるんだ。この人。


「わかりました。私、明日から佐藤さんに激甘になります」